解決のための視点
解決を図る際の大きな視点としては、金額で妥協しても早期解決を求めるか、あるいは、時間がかかってもよいから正当な補償を求めるかのいずれを重視するかという点であり、それによって、講じる手段・方法もおのずと決まることになります。
もっとも、民事損害賠償には(消滅)時効という制度があることにも注意が必要です。(消滅)時効とは一定期間が経過すると、請求権が消滅するという制度であり、交通事故の場合は、2年(自賠法上の被害者請求権の時効)または3年(民法上の請求権の時効)と比較的短い期間が定められています。問題は、2年なり、3年というのは、「いつから」起算するのかという点であり、人身損害の場合は、治癒時または症状固定時を起算点とするという理解が一般的ですが、治癒時または症状固定時をめぐり争いとなる可能性もあり、事故から2年または3年が経過しようとする場合には、事前に時効中断の措置(後記の調停の申立てなど)をとる方が無難です(保険会社が示談代行をしている場合には、債務承認書を差し入れるのが通例といわれています)。
解決の方法
解決の方法は、示談交渉、ADR(裁判外紛争処理機関)、法的手続きに分けられます。
示談交渉は、事故の当事者同士が行う場合、被害者と加害者の加入する保険会社の担当者が行う場合などが考えられます。後者の場合、弁護士が被害者の代理人として、保険会社の担当者と交渉することもあります。
ADRとは、裁判手続き以外で、公平な第三者のもとで問題の解決を図るもので、(財)日弁連交通事故相談センターの示談あっせん、(財)交通事故紛争処理センターの和解のあっせん、(財)自賠責保険・共済紛争処理機構の審査などがあります。
いずれも当事者間での交渉が困難な場合に、交通事故の民事損害賠償に関する専門的な能力を備える中立的な第三者を交えて問題の解決を目指す点では同じですが、(財)日弁連交通事故相談センターの示談あっせんは、自賠責保険又は自賠責共済に加入することを義務づけられている車両による「自動車事故」の事案(人損及び人損を伴う物損事故)について、日弁連交通事故相談センターに所属する弁護士が中心となり、話し合いで問題の解決を図るものです。
(財)交通事故紛争処理センターの和解のあっせんは、交通事故の損害賠償に関する紛争(人損・物損)を対象とし、紛争処理センターの嘱託弁護士による相談を受けたことを前提として、話し合いで問題の解決を図るものです。
(財)自賠責保険・共済紛争処理機構の審査は、自賠責保険会社等に請求し、それに対する保険金等の支払(不払い)に関する通知があった事案、一括払を担当する保険会社から人身賠償のうち自賠責保険の判断にかかる部分について事前認定が行われている事案について、書面審査により紛争の解決を図るものです。
法的手続きは、交通調停、訴訟などがあります。
交通調停は、簡易裁判所において、調停委員のもとで、話し合いにより解決を目指すもの、訴訟は、請求する金額に応じて、地方裁判所または簡易裁判所において、被害者が当該事故により被った損害の賠償を求め、裁判所が加害者の責任の有無と損害賠償額を証拠により認定するものですが、実際には訴訟になった件数の半数以上が和解により解決されていると思われます。

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