スポーツ事故の法律相談
スポーツはある程度の危険が伴うことは必然であり、ルールに基づいてプレーをしている以上、参加者がケガをしたなどの事故が発生したといっても、法律上の問題が発生するわけではありません。
しかし、事故の発生が予測できた場合、その上で、事故の発生を回避できたと思われる場合には、法律上の問題に発展することがあります。
また、学校などでのスポーツ事故では、生徒・学生との間で在学契約があり、その契約に付随して、生徒・学生の安全に配慮すべき責任があるとされ、スポーツ事故の発生を未然に防止すべき態勢が十分に講じられていたかが問題になることがあります。
最近の裁判例でも、高校のサッカー部に所属していた学生が、平成8年8月、大阪府高槻市で開催されたサッカー大会に参加した際、落雷を受け、重度の後遺症を残したため、サッカー部の引率者兼監督であった教諭の所属する高校(学校法人)らを相手方として、損害賠償を請求した事案があります。
事案の内容ですが、第1試合が開始された時刻(午後1時50分ころ)には、運動広場の上空には雷雲が現れ、小雨が降り始め、時々遠雷が聞こえるような状態であり、第1試合が終了した時刻(同日午後2時55分ころ)からは、上空に暗雲が立ち込めて暗くなり、ラインの確認が困難なほどの豪雨が降り続き、午後3時15分ころには、大阪管区気象台から雷注意報が発令されましたが、大会の関係者らは、このことを知りませんでした。午後4時30分の直前ころには、雨がやみ、上空の大部分は明るくなりつつありましたが、運動広場の南西方向の上空には黒く固まった暗雲が立ち込め、雷鳴が聞こえ、雲の間で放電が起きるのが目撃されたものの、雷鳴は大きな音ではなく、遠くの空で発生したものと考えられる程度でした。
しかし、午後4時30分ころから、運動広場で第2試合が開始され、学生が試合に参加していたところ、午後4時35分ころ、落雷を受けてしまいました。
下級審裁判所(高松高裁)は、上記の事実関係のもとでは、第2試合の開始直前ころに落雷事故発生を予見することが可能であったとはいえず、また、これを予見すべきであったということもできないとして、学校法人の法律上の責任を認めませんでした。
最高裁は、落雷による死傷事故は、平成5年から平成7年までに全国で毎年5〜11件発生し、毎年3〜6人が死亡していたこと、落雷事故を予防するための注意に関しては、事故当時(平成8年)までに、文献上の記載が多く存在していたこと、第2試合の開始直前ころには、本件運動広場の南西方向の上空には黒く固まった暗雲が立ち込め、雷鳴が聞こえ、雲の間で放電が起きるのが目撃されており、雷鳴が大きな音ではなかったとしても、高校サッカー部の引率者兼監督であった教諭としては、上記時点ころまでには落雷事故発生の危険が迫っていることを具体的に予見することが可能であったというべきであり、また、予見すべき注意義務を怠ったものというべきこと、などの理由から、学校法人の法律上の責任を否定した下級審裁判所の判断を破棄し、審理をやり直す差戻しの判決をしました。
また、事故が発生した場合に、誰が法律上の責任を負うかも十分な検討をする必要があります。上記の事案でも、学校法人のほか、サッカー大会の主催者であった市の体育協会も法的責任を追及されていますが、スポーツ大会などでは、多くの団体が大会の運営に関わっていることが通常です。一般的には、大会運営について、権利・権限を持つ団体であるほど、法律上の責任を負う可能性が高いということはいえるとしても、実際に法的責任を追及する段階では、高度な判断が求められるところです。
スポーツ事故の発生について法的責任が肯定された場合、被害者が被った損害賠償額の算定は、交通事故の場合に準じて行いますが、事故の発生などについて、被害者の年齢・経験等に応じ、被害者の過失(過失相殺)が問題となるケースも多く、交通事故のように類型的に整理することが難しいという点も指摘することができます。
当職はスポーツの法律相談にも積極的に取り組んでおりますので、お困りのことがございまし
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