2008.06.27更新

 こんにちは。前回のブログは大勢の方にみていただき、ありがとうございます。おそらく1回のブログ閲覧者の数としては、過去最多と思います。これからも楽しい話題を提供できるよう頑張っていきたいと思います。

 ですが、今回は、仕事の件を書くことにします。
 今月は、10日に1件ペースで、3件の労働審判を申し立てました。ようやく一息といったところです。
 この労働審判について、実際に経験してみて、感じたところを書きたいと思います。

 もともと労働審判という制度は、会社(使用者)と労働者の個別紛争を3回の期日で早期に解決しようとしてできた制度であることは間違いありません。
 しかし、「だから簡単だ」と思うのは、大間違いです。

 といいますのは、裁判の期日が3回しかないゆえに、事前の準備が大変だということです。とりわけ、申立書を相当に詳しく、充実した内容にしなければならず、そうでなければ、3回の期日で、満足のいく解決は得られないと私は確信しています。

 普通の裁判であれば、前にも書きましたが、最低限の内容を書いた訴状を提出し、相手方の反論を見て、主張を小出しにすることができなくありませんが、労働審判ではそれができません。

 このようなことから、私が書く労働審判の申立書は、これまでのところ、だいたい40~50ページくらいになることが多いです。
 内容的には、
 申立の骨子(解雇なら、解雇に至る経緯と解雇通告、解雇の理由など)
 予想される相手方の主張とこれに対する反論
 参考となる裁判例
などです。
 とくに、予想される相手方の反論、たとえば、解雇無効を争うケースなら、相手方、多くの場合会社側が、申立人には協調性がないから、解雇は正当だという 主張をしそうだ、ということなら、協調性がないことを理由とした解雇の有効性が争われた裁判例をピックアップし、それから導かれる判断基準を書いて、本件 に当てはめ、解雇は不当であり、無効という結論を出す、といったことです。

 法律家というのは、問題の所在を把握し、判断基準を定立し、ケースに当てはめ、結論を導くという思考方法をとりますので(いわば、起承転結です)、それを文章化するということです。

 早期に、かつ、満足いく解決を図ろうとすると、説得力ある申立書を書くことが必要になり、そのためには申立書は分厚いものになります。これに証拠資料と証拠説明書を付けて、ようやく申立ができます。

 そして、相手方から答弁書が提出され、第1回の期日を迎えます。
 
 裁判では、裁判官と2名の労働審判委員は申立書と答弁書を読んで臨みます。
 私の経験では、
第1回目は、申立書と答弁書に関する内容面の質問とこれに対する回答を通じて争点(対立点)の整理
第2回目は、話し合いでの解決に向けての調停案の提示
第3回目は、調停の成立を目指すか、それがダメなら、審判
というのがオーソドックスな進行と思います。
 もちろん、ケースバイケースですから、1回目から調停案の提示があるケースもあります。

 とりわけ、第1回目が大事で、いきなり内容に関して質問されますから、十分な準備をしていく必要があります。また、私は東京地裁しか経験がありません が、労働審判委員の能力は大変に高く、行政通達などにも精通されている方が多いと感じています(当然といえば当然ですが)。

 このようなことから、労働審判を担当する弁護士としては、その負担と労力は、通常の裁判よりも大きいかもしれないなと感じていますが、他方、準備さえ十分にしていけば、おそれることはありませんし、タイムリミットが設定されている分、緊張感をもって臨むことができます。
 
 労働審判は新しい制度ですが、紛争解決の実効性の高い、とてもよい制度だと思っています。今後も、労働事件の裁判は、まず労働審判でやってみることが多いと思います。

投稿者: 本山健法律事務所

2008.06.20更新





 こんにちは。今回は仕事の件から離れて、標題の件を書きたいと思います。

 上の写真は、佃小橋です。赤い色、独特の曲線で人の目を引きます。番組でも時々出てきますね。この橋が架かっているのは、「佃堀」といって、隅田川と水 門で仕切られており、普段は船などが停泊しています。水面をよくみると、小魚なども確認でき、釣りをしている人も見かけます。お祭りの舞台となる住吉神社 は写真の左手奥にあります。

 下の写真は、佃大橋です。月島側の隅田川テラスから撮影しました。このシーンも番組ではよく出てきますね。 
 佃大橋は、隅田川にかかる橋では、河口から数えて2番目の橋です。このシリーズのその1でご紹介した勝どき橋や、1つ上流に架かる中央大橋と比べると、 これといった特徴がなく、「無粋な橋」などと言われることもあるようですが、最近は、このブログでもご紹介した東京マラソンのコースになるなどして汚名 (?)を挽回しているように感じます。

 佃大橋は、橋自体の魅力よりも、橋から眺める景色がすばらしいのが特徴といえるでしょう。
 このホームページのトップの写真も、この佃大橋から河口方向を撮影したものを使っています。
 
 佃小橋と佃大橋、いわば親子の橋とその背後にあるリバーシティの高層マンションは、現代の佃という場所を象徴するものです。

 では、また。

投稿者: 本山健法律事務所

2008.06.13更新

 このブログでは、新聞等で報じられる様々な問題についてはあまり触れないようにしてきたのですが、今回は標題の件を取り上げます。

 6月8日、秋葉原で、大変恐ろしく、痛ましい事件が発生しました。警察の捜査により日々新たな事実が明らかになっていますが、今年になってから、このような事件が頻発しています。
 1月には、戸越銀座で少年が刃物を振り回し、数人が負傷
 3月には、荒川沖駅構内で、刃物を持った男により1人が死亡、数人が負傷
 同じころ、岡山駅でホームに立っていた男性が近づいてきた男から線路に突き落とされ、死亡
 そして、6月8日、秋葉原で、トラックで交差点につっこみ、さらに刃物に刺されるなどして7人が死亡、10人が負傷

 共通するのは、無差別に、ためらいなく人を殺傷する、動機がはっきりしない、ということにあります。
 昨晩のニュース番組で、これら殺傷事件を、「器物破壊化殺人」と言っている識者がいました。物を毀すのと同じ感覚で、人を殺傷するという意味です。

 当然、これらの事件を起こした犯人に対しては厳重な処罰が求められますし、被害に遭われた方またはその遺族の方々に対しては十分な補償がされなければなりません。
 その上で、このような事件が二度と起きないために、どうすべきかを考えなければなりません。
 今回はたまたま秋葉原であっただけで、どこでおきてもおかしくないのですから。

 秋葉原事件後、
 凶器となった刃物を規制する。
 容疑者の職に対する不満があったことから、派遣法を見直す。
などの動きが出ていますが、短期的な課題から、長期的な課題まで、われわれ1人1人が考えなければなりません。

 私ども弁護士は、被害者側であれば、被害弁償等の代理人として、容疑者・被告人側であれば、刑事弁護人として、それぞれ活動することがあります。
 被害者側であれば、弁護士も被害者の悩み・苦しみに共感し、その上で、法律的にどのようなことができるのか、冷静な視点からアドバイスができなければならないと思っています。

投稿者: 本山健法律事務所

2008.06.06更新

 こんばんは。今日は、裁判3件、相談・打合せ2件と忙しい一日でした。
 裁判のうち1件は国選弁護事件だったのですが、私なりに国選弁護の所感を述べてみたいと思います。

 国選弁護事件とは、犯罪を犯して警察に捕まり、刑事被告人として裁判で裁かれている人に税金で弁護人をつける制度のことです。犯罪を犯した人間に、なぜ 税金で弁護人をつけるのか、という問題はさておき、実際にこのような事件を担当する弁護士の立場から一言述べてみたいと思います。

 私の場合、国選事件を担当するのは、1年に数件程度で、少ない方だと思います。担当するルートは、ほぼすべてが当番弁護士か被疑者国選といって、逮捕段 階から活動をしており、起訴された後も引き続き担当するというケースです。当番弁護士、被疑者国選というのは、捜査段階での弁護活動ですから、さまざまな 条件がうまくあえば、起訴されずに身柄の釈放に持っていけることもあり、弁護士としての醍醐味を味わうこともできることもあります。これが起訴後となる と、有罪率が99パーセント以上とされていることからもお察しの通り、結論がほぼ見えているため、できることは限られてきます。

 私選であろうと、国選であろうと、仕事の中身は変わりません。ただし、国選の場合、費用的な負担が重くのしかかってきます。
 刑事記録というものがあります。捜査段階で作成された被疑者の調書をはじめ、被害者の調書、実況見分調書、犯行再現の実況見分調書等々、起訴された事件 が1件だけのシンプルな案件ならともなく、同じ事件を何度も繰り返している事案、共犯者多数の事案などでは、電話帳何冊分もの分量になることがめずらしく ありません。
 きちんとした弁護活動を行うためには、これをコピーし、手元に置いて繰り返し読んで検討するという作業が必要になってきますが、このコピー代がばかになりません。1枚30円くらいするため、分量が多くなってくると、コピー代だけで10万円を超えてしまうこともあります。
 最終的に全部の活動が終わると、裁判所から報酬が支払われますが、凶悪・共犯者多数で、裁判が10回くらい開かれた事件でも15万円前後でしたので、コピー代だけで報酬の大半を費やしてしまうということになります。
 霞ヶ関の裁判所であれば、交通費も微々たるものですが、八王子管内の事件になると、裁判所や拘置所などへ行く交通費もかかりますし、何と言っても時間が取られます。

 「国選はボランティアだ」とか、「まじめに頑張った人が損する」とかいうことを司法修習生のころに聞いたことがありますが、今になってみると、本当にそうだなあと思います。

 とはいえ、被告人本人が犯した罪に向き合って反省を深めていき、立ち直ってくれると、頑張って良かったなあと思います。私が弁護士になりたてのころに担当した国選事件の被告人で、実刑となり、服役を終えて、家族を持ち、立派に更生を遂げている人もいます。
 ところが、そうではなく、自暴自棄になったり、不合理な弁解に終始したりする人の場合、終わってもやりきれない思いだけが残ることもあります。

 事務所を経営する立場になると、毎月の人件費や家賃などを負担しなければならず、かつ限られた時間の中で少しでも多くの方のお力になりたいということを考えますと、国選事件のような労力の割にはペイしない案件は徐々に避ける方向になるでしょう。

 近時は、裁判員制度の実施が近づいているためか、刑事裁判に対する関心が高まっているようで、本日の公判でも50席くらいの傍聴席がほぼ一杯でした。弁護士になったころの初心を忘れずに、今後も取り組んでいきたいと思います。

 なお、時々、離婚や相続、不動産、会社関係などの相談はできますか?というお問い合わせがあります。コンテンツには掲げておりませんが、これまでの 10年間の弁護士業務の中で、これらポピュラーな問題はもちろん手がけてきておりますので(境界確定、知財などの特殊分野は別ですが)、ご遠慮なくご相談 下さい。

投稿者: 本山健法律事務所