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倒産事件

中小企業・個人事業者の倒産

中小企業・個人事業者の倒産

事業を営んでいる会社や個人の事業がうまくいかなくなった場合、経費削減(人員削減、給料一部カットなど)に努め、あるいは協力者の援助を求めるなどして、再起を期すことが通常でしょう。

しかし、銀行など金融機関への借入金が返済できなくなってきたり、取引先への支払ができなくなってくると問題です。

経営者・事業者は、金融機関や取引先、従業員への責任感から、なんとか経営を継続しようとしてしまいがちですが、改善の見込みがないのに漫然と経営を続けることは、最終的に不要な損害を金融機関や取引先、従業員らに与えてしまうこともあります。

金融機関や取引先が返済の猶予や繰り延べなどを認めてくれればよいのですが、そうならない場合、倒産処理という措置を現実のものとして考えるべきです。

 

破産手続き

破産手続き

支払ができない場合、または債務超過の場合(法人のみ)については、裁判所に破産手続開始の申立を行うことができます。

「支払ができない」(支払い不能)とは、支払能力を欠くために、債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態にあることをいい、「債務超過」とは、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態にあることをいいます。

破産手続とは、会社の財産を換価するなどして清算することをいいます。会社等の財産は裁判所から選任された破産管財人が換価し、債権者への配当の元にします。

例えば、製造業を営む会社(機械設備のほか、工場を所有し、銀行からの借入金の担保のために抵当権設定。従業員1名で既に解雇されているが給料の未払いあり。国税の滞納あり。その他取引先への未払いあり)が破産手続きとなった場合、どうなるかを考えてみましょう。

まず、銀行は、工場に抵当権を設定していますから、破産手続とは関係なく権利(抵当権)を行使することができ、工場を売却する(競売)ことにより、その売却代金から優先的に貸付金を回収することができます(担保割れしているケースを除きます)。一般的には、競売よりも任意売却(通常の市場での売却)の方が高額で売却できることが多いため、銀行と破産管財人との交渉により(破産管財人は工場の売却代金から少しででも債権者の配当のもとにする財産を確保すべく、銀行と交渉するのが通例です)、任意売却で処理をする場合が多いといえるでしょう。

このようにして、銀行は工場の売却代金から優先的に返済を受けることができると、破産手続きから脱退します。

破産管財人が工場の売却代金から一定額を確保し、また、機械設備を換価して、一定の財産を築くことができたとすると、次に、国税滞納分と従業員の未払い給料を支払うことになります。


 
破産手続き

なお、従業員の未払い給料については、「独立行政法人労働者健康福祉機構」の未払賃金立替払制度を利用することができる場合があります(一定の条件があります)。

破産管財人が国税滞納分と従業員の未払い給料を支払うことができたとすると、さらに、配当すべき財産があれば、取引先(一般の債権者)への配当に充てることになりますが、実際上、一般の債権者への配当が行われることは多くありません。

このような現状においては、手続を透明化し、どのような経緯で破産に至ったか、破産管財人はどのような処理を行い、結果的にどうなったかという情報が債権者に提供されること(情報の配当)が重要とされます。

東京地方裁判所の破産手続きはこの点に意を用いた運用がされています。

また、会社が破産する場合、多くの場合、代表者が個人保証をしていますので、会社とともに破産手続きを申し立てることが通常です。会社は破産手続が終了することによって消滅しますが、個人はそうではありませんので、破産手続きを経ても残ってしまった債務については、免責の許可を受けられるかが問題となります。

免責とは、法律上の支払義務を免除すること、要するに、借金を帳消しにすることです。

法律上は免責が許可されるのが原則ですが、例外的に免責が許可されない事由が法定されており、この事由がないかどうかがチェックポイントです(事業者の場 合はこの事由があることは比較的少ないといえます)。また、税金など一部の債権は免責の対象になりません(つまり、これらの債権は裁判所の免責許可を受け ても、法律上の支払義務が残ります)。

 

民事再生手続き

民事再生手続き

このまま放置しておけば、近い将来、破産になってしまうという場合、民事再生の申立を行うことができます。民事再生は、現経営陣のもとで、負債の一部を免除してもらうなどして、事業自体を継続する場合に取る方法であり、再建型の倒産手続の代表的な手法です。

負債の一部(多くは8割、9割カットといった高率)の免除をしてもらいながらも事業を継続するというためには、債権者の理解と協力が何よりも重要となりますので、折に触れて債権者へ情報を提供して会社再建への理解と協力を求めるなどの努力を欠かすことができません。

他方で、裁判所から選任された監督委員に対しても、必要な説明や協力をすることが必要です。

とはいっても、もっとも重要なのは現経営陣の再建に向けた情熱とそのための努力です。地場産業では、破産により会社が消滅した場合の地域への影響が多いという事案もあるでしょう。また、スポンサーがおり、現在の負債の一部を免除してもらいさえすれば、再建の見通しが立つというケースもあるでしょう。会社再建のためにもっとも重要なのは現経営陣の情熱と努力です。

民事再生手続では、債権者から債権届出をしてもらい、それを認めるか否かの作業をする一方、再生計画案を作成・提出した上、債権者数(議決権者)の過半数の同意があり、かつ議決権者の議決権の総額の2分の1以上の議決権を有する者の同意を得ることができれば、再生計画案どおりの効果が発生する(負債の一部が免除されるなど)ことになりますが、民事再生手続きを成功裏に処理するためには、現経営陣と代理人弁護士とが緊密に連携し合い、裁判所、監督委員の指導のもと、債権者の理解・協力を得るという形で進めなければなりません。